寿限無

やぶらこうじのぶらこうじ

歯列矯正を始めました

昔から歯並びが悪く顎に梅干しを飼っていて、中学時代に笑うときには口元を手で隠す癖を意識的につけたような人生でした。将来を悲観することはなくてもコンプレックスであることは確かで、イベントのグリーティング写真も横顔や笑ったときの口元がうつっているとダメージを受けて光の速さで画面を閉じます。

もしかしたら保険適用になる日が来るのではないかと思い続けて、やっと不妊治療の助成が増えたような世界でそんなことはあり得なさそうだと気づいたので、思い立ったが吉日、すぐにカウンセリング予約をとってポンポンと事をすすめました。引っ越し代よりも高いうん十万でも、結婚式の支払いの後だとハードルが下がる金銭感覚も矯正しないとやばいなと思っています。

今まで「歯列矯正をしたい」という気持ちのメインは審美目的だったのですが、ここ数年自分の身体のことを考えることが増えて、これからさらに歳を重ねた未来に、きちんとした噛み合わせで歯周病リスクを減らておきたいという気持ちが強くなりました。身体的な下り坂を迎える年齢なので一年でもはやく始めたほうがいいと思ったことが大きいです。

 

費用のほかにも、健康な歯を抜くことに抵抗があって二の足を踏んでいました。だってよく聞く「一本でも健康な歯を残そう」スローガンと真逆じゃないですか。非抜歯でやりたかった。あと痛いのも嫌でした。なので漠然とマウスピース矯正がいいなと思って、とりあえずインビザライン専門の矯正歯科で無料相談を受けました。

 3Dスキャンまでしてもらって、自覚以上にガタガタな歯並び(奥歯も嚙み合ってなくて驚いた)なことを認識しました。専門の矯正歯科だから無理やり契約させられるんじゃないかとビビっていたのですがまったくそんなことはなく、むしろ「インビザラインは巷で言われているほど魔法のような矯正ではないですよ」とまで言われました。ネットで言われているほど無痛ではないし、なにより私達の力で治療の進行度を左右できないんです、すべて患者さんの装着時間任せなので。ここで私の心は揺らぎました。そこまでマウスピース矯正にこだわる理由が自分にはあるのか。一日三食の食事のたびに脱着ということは一年で365日×3回でおよそ1000回。耐えられるのか。外出時の喫茶店も晩酌も制限がかかるぞ。その自信はあるのか。

うん、ワイヤーでもいいや。

別の矯正歯科にカウンセリング予約をいれている話をしたところ、「そこならインビザラインもワイヤー矯正も表裏で扱っている腕の確かな先生で、私は信頼してます。うちにするにしても、そこで相談してみてからでいいんじゃないですか」と背中を押してもらいました。自分の仕事に誇りをもっているいい矯正医さんだった。わたしの運命を変えてもらった。(余談ですが、マウスピース矯正については、ネットの体験談で「矯正終わった!」とあげられている写真は見た目がきれいでも上下の歯が嚙み合っていなかったり、マウスピースからワイヤーに切り替えている人も多かったり、メリットよりも不安のほうが大きい状態でした。)

 

後日、予定通りカウンセリングを受けました。一般歯科が併設されていて、親知らずを抜いてもらったことがあるので医院の雰囲気は知っていたので緊張はしませんでした。あらかたの説明を受け、「うーん四本抜歯をおすすめします」といつもの宣告を受け、別日に有料診断を受けました。毎回必ず顔が見える位置に来てくれたり、歯科衛生士さんとのやりとりが好印象だったので契約書にサインして、一括支払いしました。

 上下左右の四番抜歯の上下表側ワイヤーです(親知らずはすべて抜歯済み。)

それから二週連続で一本ずつ抜歯をしましたが、表面麻酔もしてくれたので全く痛くなかったです。針が刺さる感触もなかったし、液が入ってくる痛みもなく。引っ張られる感覚はさすがに怖かったけど、フルフラットの診察台で目を閉じて緊張してると、煉獄さんが「集中」って言いながらおでこトンってしてくれるんですよね。もう何も怖くない気がしてきて、そのまま深呼吸に徹しました。そしたらすぐにポンて抜けた。ありがとう煉獄さん。ありがとう歯科医さん。

どうでもいいんですけど四番って通常根っこが一本だそうですが、私の四番はきれいに二本の根があり先生が驚いてました。「歯科大学で抜いた歯を広げて何番か当てる授業があるんですけど、そこに出てきたらかなり困惑する歯ですね。「二本!?」って騒然とすると思います。きれいに抜けてよかったです」と言われて、ちょっとおもしろかったです。麻酔切れてないから口角はあがりませんでしたけど。親知らずも三根だったのでそういう身体なんだろう。

 

ワイヤー装着日は、夕方にワイヤーをつけて(上のみ)、4時間後にそこはかとなく痛みました。舌で押すとグラグラ動くのがわかって怖くなりました。シュークリームの皮は噛み切れず、よく煮たうどんは食べられました。出っ歯のせいか唇を閉じようとしてかかる圧だけでも痛かったので、啜らずにレンゲによそって食べました。

翌日の寝起きからハッキリした痛み。想像していた(親知らずを抜いたような耐え難い)痛みではありませんでしたが、我慢する理由もないのでカロナールを服用。痛み止めがあれば快適に過ごすことができました。食事はよく煮た麺類。フィナンシェは食べられるけどクッキーはつらい。3日目になると通常時の痛みはまったくなく、唇を閉じる圧も平気になりました。噛み締めても、歯が沈む感覚はしても痛みはない。7日目には沈む感覚もなくなりました。きゅうりも食べられるし、じゃがりこもいけそう。痛くなさすぎて動いているのか不安になるくらい。ブラケットのゴムはインドカレーで一発で黄ばみました。(今はブラケット固定が針金になったので着色については無双です)よく抜歯前に青ゴムをつけるとかブラケットだけつけて次回ワイヤーをつけるという話を耳にしますがそんなことはなく、ブラケットもワイヤーも一回でつきました。

 

今は下四番の抜歯中で、月末には下の歯にもワイヤーがつく予定です。また唇の裏にワイヤーが刺さる痛みに耐えるのがちょっと憂鬱です。ビタミンBサプリを飲んでいるのでいまのところ口内炎はできていませんが、痛いは痛い。でも痛みと同じくらいの喜びがあります。唇を動かさなくても前歯で蕎麦が噛み切れたとき、すごく感動しました(出っ歯なので上前歯と下唇で嚙み切っていた)。今年中にどこまでそろうのか、コロナが終息して久しぶりに会う人たちはどれだけ驚くかを考えると楽しいです。

歯列矯正は私の人生の中でたった数年の話なので、今後もちょくちょくブログに残していきたいです。がんばるぞ!矯正というよりブログ更新を。