寿限無

やぶらこうじのぶらこうじ

結婚式の新型コロナ感染対策について

令和2年12月中旬に挙式披露宴を行いました。私が実施した新型コロナウイルス感染対策について記事に残します。

この記事は披露宴の開催を推奨するものではありません。感染対策の専門家でもありませんので、有効性については各自で判断をお願いします。そのうえで、これから晴れの日を迎える方々の不安を解消する参考になれば幸いです。

 

 

ゲストテーブルの人数変更

契約時には遠方親族も含めて60人超え規模で開催する予定でしたが、40人以下で開催しました。席次については6〜8人用の円卓を4人以下で使用し、なるべく生活圏が同じゲスト同士で配置しました。最大収容人数150人の会場のためテーブル同士の間隔は十分にとることができました。反省点は、直径が大きい円卓とはいえ3人席の両端が対面になってしまったことです。隣席との距離が近くなっても対面から少しずらしてもらうようハッキリと伝えるべきでした。

私はグループ付き合いの友人が少なかったため、欠席者が出ると全員が初対面の卓ができてしまったりと直前まで変更しました。今までの披露宴よりも多くの直前欠席が予想されるため、席次表作成を式場提携業者にお願いしてよかったと思います。

 

ゲストへの声掛け

招待状発送は感染拡大が落ち着いていた9月だったため、第三波の報道が増えた段階で、気になるゲストには「出席してもらいたい気持ちはあるが、そのせいでゲストが周囲に責められてしまうのは本望ではないこと」「新型コロナウイルスやその中での結婚式について、多様な価値観や考えがあることを理解していること」「大切な友人とご家族の安心を最優先にすべきと考えているので、式直前でも気軽に欠席連絡をしてほしいこと」を伝えました(招待状発送前の連絡で感染状況を気にする様子があったり、家族が医療従事者の方を重点に連絡しました)。

実際に欠席者が一人二人と増えるたびに、欠席連絡をしやすい環境をつくる重要性を感じました。連絡するたびにキャンセルが増える恐怖や「欠席になるゲストに謝らせてしまうこの選択は正しいんだろうか」という葛藤の一方で、「こんな時だからこそ結婚式を楽しみにしてる」「街の飲食店より対策してるはずだから安心だと思ってる」という声に背中を押され、前を向くこともできました。(これは私情ですが、どうか、SNSで目に入ってしまう「常識で考えればやらない」「みんな中止にしてる」「本当はみんな嫌だけどゲストは言えないだけ」などの主語の大きな言葉より、直接声をかけてくれる人のアイメッセージを大切にしてほしいと思います。)

また、直前の体調不良でも欠席しやすいよう、ゲストにスピーチや余興はお願いしませんでした。

 

受付フロアの拡充

招待客の受付フロア(ウェルカムドリンクを提供する場所)の左右に、扉で区切られた形で親族控え室がありました。両家とも両親兄弟家族のみの出席だったため、同じ控室を利用してもらい、もう一方の控室を開放することでゲストが十分なソーシャルディスタンスを取れるようにしました。

 

芳名帳の代わりにゲストカードを事前配布

受付時間短縮と筆記具からの接触感染予防のため、招待状にゲストカードを同封し、芳名帳のかわりとしました。ゲストカードに凝ったイラストを書いてきてくれた友人もいて感動しました。当日忘れる方もいるため予備の用意は必須です。

また、ゲストが触れるアイテムを減らすためメニュー表と席次表を一体のものにしました。カラードレスの色当てクイズやスタンプツリーなどは実施しませんでした。本当はやりたかった。

 

ゲストテーブル装花の変更

飛沫がつく可能性が高いものをゲストが持ち帰ることに不安があったため、テーブル中央の装花をシンプルにして、予めこちらで指定したゲストにミニブーケをプレゼントする形にしました(「店頭で〇〇円くらいのミニブーケをお願いします」と伝えましたが、実際どんなものが渡されたのか確認する時間がなかったのでしばらく不安でした)。通常の装花をスタッフが回収・消毒し小分けでお配りする案もありましたが、早い段階でゲストテーブル装花を回収するのが嫌だったのでやめました。

最終打ち合わせで変更したため花器の選択肢が少なく、非常にシンプルなサイズになりました。インパクトが欲しい場合は、大ぶりの花器やフローティングキャンドルを利用すると花が少なくても十分な装飾ができると思います。

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メインテーブルの装花については、消毒の上で小分けにし、希望者に持ち帰っていただけるようにしました(こちらは新婦の手紙が終わってからの回収だったので、早めに引き上げてもゲストはそんなに気にしないかな…と)。結果的にすべて捌けました。家族のために持ち帰っている男性ゲストもいて、選択肢のひとつとして用意してよかったと思います。

 

引き出物宅配の利用

演劇界隈で話題になったように、床に置いた手荷物が感染経路になってしまう不安があったため、引き出物はすべて宅配対応にしました。また、帰り道のトイレで手洗いをしづらくなったり、周囲に「あんな大荷物で、こんな時期に結婚式に参加したのか」と思われないようにする意味もありました。

プランナーから「当日何もないことに難色を示すゲストもいらっしゃるので、せめて引き菓子かカードタイプのカタログギフトをお配りしてはどうか」というアドバイスもありましたが、ゲストの年齢層から柔軟な思考を持っている人が多いと判断し、当日のお渡しはプチギフトのみとしました。

ペーパーアイテムやミニブーケを持ち帰る用として、プチバッグを配布しました。プランナーに「とにかく床に置くことを避けたい」と伝え、円卓の空いたスペースにバッグを置くための椅子を用意してもらいました。(このプチバッグと当日の案内カードは、引き出物宅配業者のものを使用しました。)

デメリットは、配送の段ボールに業者名が出るため、ネットで検索すると金額がはっかりわかってしまうことです。業者名を隠して検索対策をしているところもあるようですが、アダルトグッズを送るわけでもないし金額も相応のものを用意しているし、業者名が明記されていて商品保証されるほうが安心だと考えました。

メリットは、ご祝儀を送ってくださった欠席者にもすぐに内祝いを手配することができました。式後、内祝いの業者選びから始めていたら大変だったと思います。

 

マスクケースと消毒液の配布

アルコール70%以上の携帯アルコールスプレーを購入し、マスクケースとともに各席に配置しました。写真撮影でスマホを触ることも考え、自席でいつでもすぐに消毒できるほうがいいと考えました。外装された状態でお配りしましたが、実際の使用状況はテーブルによってマチマチでした(嗅覚確認用にミントの香りがしたせいもあるかもしれません)。

マスクケースは式場が用意したチャック付きポリ袋でした。「一度マスクを仕舞ったら中々付けてもらえないのでは」と不安でしたが、食事以外のマスク着用を守ってくださる方がほとんどでした。これはゲストの感染予防意識の高さのおかげですが、卓上にゆとりがあるため手の届くところにマスクを置いておきやすかったのも理由のひとつかなと思います。

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親族挨拶周りの取りやめ

通常の披露宴であれば歓談中に両家親族が一卓ずつ挨拶に伺いますが、挨拶周りを控えるようお願いしました。その代わりとして、乾杯の発声を両家父親にお願いしました。(結果的には、自ら親族席に挨拶しに行くゲストもいましたが…)

感染対策に関するお願いを中心に作成したオープニングムービーでもお酌や回し飲みはしないように呼びかけました。式場にも、積極的な瓶ビールの提供はしないでほしいと伝えていました。

 

新郎新婦のマスク着用について

今しかできない演出がしたい&人前でキスをしたくない気持ちから、誓いのキスを不織布マスク着用で行いました。そのままチャック付きポリ袋にしまった状態でメインテーブルに置いてもらいました。余興で新郎がメインテーブルを離れる時間などはマスクを着用しました。

お色直し後のテーブルラウンドはマスクを着用せず行いました。お見送り(プチギフト手渡し)は近距離の対面でゲストと会話をすることになるため、マスクを着用しました。

 

そのほか、公益社団法人日本ブライダル文化振興協会の示すガイドラインに目を通しておくとともに、陽性者が出た場合の式場や保健所との連絡手順について式場スタッフに確認すること(式場スタッフが保健所との連絡手順を把握していること)は安心の目安になると思います。

ウェディングケーキが入刀したものと別のものを提供する形になったり(式場によっては選択肢がないのに追加料金がかかるという話も…)今までの形にこだわってしまうと、できないことはたくさんありました。私は、写真や映像がマスクだらけになるのはゲストがきちんと感染対策に協力してくれている証拠で、逆に今しか見られない結婚式風景かもしれないと考えることにしました。実際に、寸前に外したマスクを片手に持ちながらの記念写真を見て、感謝しかありません。

どうかみなさんがこの時代を乗り越えられますように。