寿限無

やぶらこうじのぶらこうじ

マシンピラティスを始めてよかった話

体力が無さすぎる。運動音痴で体育は嫌いだったし、あれだけ話題になったリングフィットすら続かなかった。舞浜やイベントで一日歩くことはあれど、健康診断の問診票では「運動習慣 無し」のままだ。就職してからずっと。そして歳を重ねるごとに、数字にはあらわれない変化も感じている。これからさらなる右肩下がりは確定しているのに、いいのだろうか、このままで。

と、数年単位でぼんやりとした焦りを抱えたまま(抱えているだけの状態で)、今年の春を迎えた。春の心地よさは新しいことを始めたい気持ちにさせる。まっさらなノートの1ページ目を開く新学期よろしく、よしやるぞという気持ちだ。その勢いで、マシンピラティスに通い始めた。やるなら今しかないと思った。ちなみに私が丁寧な文字で板書をできるのは、ノートの4ページ目までである。

ジムではなくマシンピラティスに決めたのは、運動が苦手でも大丈夫という口コミがあったからだ。もともとは傷病兵のリハビリのために発明されたもので、マシンの補助機能により少ない負荷でトレーニングができるらしい。それにダイエット(減量)よりも体のラインを整えることに適しているとのこと。減量や、がっつりボディメイクをしたいわけではない。すこしだけ健康寿命が延命できればいい。そんな私にはぴったりな気がした。

それに、「らしくない」ことをしてみたかったのだ。マシンピラティスのイメージといえば、身体のラインがわかるタイトな服装。うーん、キャラじゃない。「いやいやわたしはそういうのはちょっと・・・」と苦笑いしてしまう。だけど、なんというか、だからこそ、やってみたいと思った。マシンピラティスを、というよりは、他人からの評価を気にせず、自由に、らしくないことを選択してみたかった。

わたしは慣れないことをするとき、インターネットにかじりついて情報を仕入れる性格だ。googleからSNSまで、検索欄は「マシンピラティス 初心者 おすすめ」で埋まった。結果的に、徒歩圏内にあるスタジオの体験予約をいれた。「ええい、ままよ!」、タンスからジャージを引っ張り出して、60分間の体験にくりだした。

60分間も身体を動かしたのは何年ぶりだろう。当然へろへろになった。へろへろにはなったが、60分をやりきった。「楽しい!」。運動後のドーパミンを感じるのも久しぶりだ。ドーパミンの気持ちよさのなかで、即日入会した。疑り深い性格でもあるので、「支払金額は、月額会費のほかに施設管理費がかかったりするんですよね・・・?」と質問をしたら「うちはシンプルに月額会費だけですよ。」と笑顔で答えてくれた。帰り道にGUでジョガーパンツを買った。好きな劇団の公演Tシャツとジョガーパンツの組み合わせが鉄板になった。

まずはキャンペーンの解約違約金がかからなくなるまで6ヶ月。6ヶ月は通おうと決めて、なんと、まだ、継続できている。この私が!運動系の会員を!幽霊会員にならずに!通わないとお金がもったいないとは言え、さぼることもできるのにさぼらずに!

あいからわずへろへろになるし、常連向けのレッスンでは醜態をさらしている自覚もあるが、身体を動かすことの気持ちよさ。仕事でモヤモヤしていも、この60分間は自分の身体だけに意識を向けて、自分の身体を動かすのってこんなに難しいんだと感じる時間。身体がじんわり温まってきてすこしだけ汗をかく瞬間。これってもしかしてマインドフルネスではないのか。精神面にポジティブな影響が出ている気がする。

肉体面にも変化があった。頭痛がするほどの肩こりで1ヶ月に1度は整体に行かないとしんどかったが、今では「しんどいからとりあえずピラティスいくか」に変わった。肩こりがない状態でピラティスをして、左右の不均等に気づいて整体にいくこともある。それから、通い始めて半年が経った頃、体重がするすると落ちた。下半身の肉付きもかわったと思う。献血ができない体重まで落ちたので、危機感を抱いて、体重計を体重体組成計に買い換えた。骨格筋率が下がっていないことを確認してホッとしている。

解約違約金がかからなくなっても通い続けようと決めた記念に、ヨガウェアを買った。トップスは腰回りが隠れるくらいの丈長めだが、ボトムスは身体のラインがわかるタイトなウェアだ。下半身に重点を置くレッスンだと膝上がぽっこり動くのもよくわかる。「らしくない」ことを始めて、ここまできた。もしかしたら、半年後にはヘソ出しウェアになっているかもしれない。と、自分で書いてみて「いやいやさすがにそれはないか」と笑いながら、いつかの未来にヘソ出しウェアの私が待っていてくれたら、会うのが楽しみだとも思うのだ。

オペラ座の怪人 ブラボー上映の備忘録

4Kデジタルリマスター「オペラ座の怪人」ブラボー上映がとても面白かったので、覚えている限りの発声を書きとめておきます。記憶力がよくないのでその点はご了承くださいね。雰囲気を思い出す用になっています。
この作品を新たな形で、たくさんの人と共有しながら楽しむことができて、とても新鮮でしあわせな時間でした!後半はみんな静かに見入っている時間が素敵だった。
当時の仮装で私が見かけたのはジリー親子くらいかな?黒のロングスカートなど概念コーデの人はけっこういた気がします。
令和にファントムうちわという新規グッズきた。ジェリーの顔面強すぎる。


\ブラボー!!/(クリックで展開)

GAGAロゴに拍手

視線を交わすラウルとマダムに 知り合いー?
猿ゴールのオークションに多くのバイヤーが1フラン単位で参加するも、ラウルが30フランを提示した瞬間静かに
「30フラン、ほかにいませんか?よろしいですか?」いいよー!
ラウル落札で拍手 大事にしろよ!
ラウル「私たちが死んだあとも奏で続けるのか」しなないでー!

シャンデリアが輝きテーマソングが流れて拍手

ハンニバル稽古で歌うカルロッタに おつかれさまです
クリスティーヌ登場で拍手 かわいい!
メグジリー登場で拍手 かわいい!
支配人が紹介されて拍手
「スクラップメタル」の台詞ピッタリに スクラップメタル

舞台をあとにするラウルに 気付いて!そこにいるよ!クリスティーヌいるよ!
気づかれなかったクリスティーヌに 大丈夫だよ!どんまい!

私は歌わないと帰るカルロッタに 帰っていいよ バイバーイ
支配人がカルロッタにTOMをリクエストして 歌ってー!おねがい!
 
「今夜のチケットはすべて払い戻しするのか!」に 歌えるよ!まわりみて!クリスティーヌが歌えるよ!うしろー!
「先生の名前はなんだね」 だれー?おしえてー
「名前を知らないんです」 そっかー えー
クリスティーヌが歌い始めるところで 頑張って!できるよ!歌ってー!

TOM中
地下のファントム頭頂部が映って拍手
ラウルのブラボー!にあわせて ブラボー!
ラウル「彼女は覚えていないだろうが、僕は覚えている」 覚えてるよ!
歌い終わりに拍手 ブラボー!スペンダー!

楽屋に向かうため通路を歩くメグとラウルのシーン ラウル通してー!
廊下でいちゃつくカップルに ヒュ~!いちゃこらしとる!

クリスティーヌがろうそくを灯すシーンで パパ!お父さん!ラミンー!娘さんを僕にください!

支配人から花束をとるラウルに とらないで!
楽屋に入るラウルに ノックはー? フゥーッ!
話を打ち切るラウルに 話聞いて!信じてあげて!
クリスティーヌの制止を聞かないラウルに 強引すぎる!話聞いて!2分は無理!
ファントムが鍵をかけて 拍手 おお!?手だけでかっこいいー!見てるよ!
オペラ座から帰る支配人?に お疲れ様でした
火が消えるシーンで 2分経ったよ!ラウル戻ってこい! 

ザ・ミラーの歌い出しで拍手 かっこいい!声がいい!歌が上手い!
ファントムとクリスティーヌが手を繋いだ瞬間に拍手
地下への案内中に かっこいい!

隠し扉に気付いたメグに 戻って!あぶないよ!帰って!ねずみとかいるよ!

MOTNは発声なし ナンバー終わりで拍手あり

クリスティーヌが目を覚まして おはようー
猿ゴールがうつって 30フラン!

ビュケーの頬を叩いたマダム・ジリーに ブラボー

ファントム「(イルムートは)完璧なキャスティングだろう?」 わかる

クリスティーヌがイルムートに抜擢されて拍手

ファントム対ビュケー がんばって!にげて!かっこいい!

AIAOY
陰で二人の声を聞くファントムに 大丈夫だよ!いけるよー勇気出して!がんばれー!
二人が去ってからのファントムに 泣かないで!わたしがいるよ!わたしもいるよ!みんながいるよ!もどってこい!まだまにあう!泣いた顔もかっこいい!
遠く聞こえるラウルとクリスティーヌの歌声に 追い打ちやめろぉ!
ペガサス像に駆け上るファントムに がんばれー!

現代ラウルのシーンで なんで白黒ー?

マスカレードの白黒男性ソロダンス終わりに拍手
クリスティーヌに かわいい!
(ここらへんは音楽が大きくほとんど聞こえず)

レッドデス登場 かっこいいー!!足が長い!かっこいい!セクシー!
「皆さんどうして静まるのだ?」盛り上がってるよ
「私に会いたかっただろう?」(あちこちから)会いたかった!!
「皆さんのためにオペラを書き上げた」ありがとうー どんなのー?
「勝利のドンファン!(バサァッ)」拍手
「カルロッタは演技を勉強しなくては」ふさふさするのやめてー それはそう
「ピアンジは減量を 健康にも良くない」メタボ!それはそう!頑張ろう!
ファントムとクリスティーヌが見つめ合い いけるよー!がんばれ!おせばいける!
婚約指輪をぶんどるファントムに ちがう!そうじゃないだろ!

マダムジリー「説明しますわ」 おねがいします
ろうそくに火をつけるマダムジリーに 着物似合ってるよ
見世物小屋で麻袋を奪われむち打ちされるシーン ひどいよ!やめてよー

寝ているラウルに 起きてー!
金を渡された男に 気を付けて!あぶない!
白馬に飛び乗るラウルに かっこいい!!

クリスティーヌのナンバー終わりには拍手無し
かけよるラウルに  気を付けて!うしろー!あぶないよ!
出血するラウルに 大丈夫?
倒れ込むファントムに 倒れ方もかっこいい!

ドンファン前に「こわいわ」とこぼすクリスティーヌに 大丈夫だよ
ラウル「彼は生きている限り僕達につきまとう」 重い

ドンファン(ファントム)登場で拍手
シーッのジェスチャーで拍手 かっこいいー!

PONRからほぼ声出しなし

マダムジリーと別れたラウルに ちゃんと手あげて!気を付けて!あぶない!
水中で頑張るラウルに 頑張れ!間に合うよ!

隠れ家もほぼ声出し無し
柵に入ってきたラウルに 気を付けて!手あげて!

探しに来たメグに パンツスタイルも似合ってる!かわいい!

猿ゴールがアップで映り 拍手
車椅子から立ち上がるラウルに がんばれ
最後のタイトルロゴで拍手

エンドロールは主要3キャストとALWの名前で拍手
音楽の切れ目にも拍手

ほとけの国の美術展

府中市立美術館「ほとけの国の美術展」を見に行って来ました。昨年インド細密画展を観に行って、いい美術館だなぁと感じていたので、また興味関心を抱く企画展をやってもらえて縁を感じる。

一番見たいと思ったのは後期展示品「地獄極楽図」。金沢市のお寺が保管しているもので、この作品が美術館で展示されるのは初めてとのことです。公式SNSでもしっかり紹介されています。いままで能動的に日本画に触れる機会がありませんでしたが、これは現物を見たいと思いすべりこみで行ってきました。府中市美術館、広報としてSNSの使い方が上手い。

展示の構成は、六道のうち人道や餓鬼道、阿修羅道が展示。その次からは地獄の階層、それから極楽図が壁一面に展示されています。

人道は生老病死の四苦に悩み苦しまなければいけない道。一枚の縦軸絵画の中には、赤子をとりあげる老婆や、若くして亡くなった女とその横で涙を流す母親と思われる年代の女などなどさまざまな人物が描かれており。人生の縮図というか、この人物の中の誰に視線が行くかで自分の状態がわかりそうな。

餓鬼道は想像通りの餓鬼というか、混雑の関係で地獄を見てから餓鬼道を見たため「あーこんなもんか」と悲惨には感じませんでした。国立美術館で開催されていた「やまと絵展」でも餓鬼の絵を目にしていたからかな。同じ画面に供養している?僧侶や健康そうな人間がうっとうしそうな表情をしているから、そこに存在する身近な存在だったんだろうなぁ。餓鬼はほぼ人間なんだろう。しらんけど。

阿修羅道は、神様の争いに巻き込まれて逃げ惑い続ける道。神様がはた迷惑過ぎて笑う。それは天災のことなのかもしれないし、「人智を超えた神様同士の争いだから成す術がない」というところに絶望感がある。生命を脅かされ続けることがどれだけ苦痛か、それは時代を超えても変わらない普遍なのかもしれない。

で、地獄絵図。罪を犯した人間が落ちるところで、罪の数によって苦痛レベルが変わるという。ここで裁かれる「罪」の定義が気になるけど…。今まで、閻魔様が項垂れた人を裁く絵や、地獄で鬼達に折檻される人間たちの絵を見たことがあるのですが、身近でなさすぎてどこか面白いと思っていました。

ところが、地獄の階層は深くなるごとに空間埋め尽くす真っ赤な炎は勢いを増して、人の衣服はボロ切れになるどころか裸同然になり、顔は恐怖や苦痛に歪み、いたるところから血が噴き出し、そんな人たちが人道とは比べ物にならないほど。「これは戦争体験者の描く絵に似ている」。空襲で真っ赤に燃え上がる炎、被爆して髪や身体は焼けただれ裸同然の姿で力なく歩く人々、転がる死体。今日よりも寺や仏様がもっと身近だった世代の語る「まさに地獄絵図だった」という言葉の重みを私はわかっていなかった。そう思いました。もしくは今この瞬間私の中でも重みのある言葉になったというか、ただひどい有り様を表すだけの言葉ではなくなったというか。

私の隣で絵を見上げていた人の発した「地獄には行きたくないなぁ」という小さい声に、ぐるぐるといろんな考えや感情が渦巻いたのでした。成す術なく逃げ惑う阿修羅道、何十倍も苦しい思いと表現される火に埋め尽くされる地獄。これは前日に「夢の泪」を観劇していたタイミングだったからもしれませんが、そう思いました。電車を乗り継いで見にきてよかった。ここで本物に触れることができたことが、これからのなにかに繋がるかもしれないと思いました。絵ってすげえ。

そのほかにも歌川国芳の「お竹さん(お竹如来)」では「絶対この世にはお竹さんの春画が存在するはずだな…」と思ったり、藤原業平の涅槃図(女ばかりが泣いていて、業平もちょっとニヤけているように見える)に笑ったり、長沢芦雪のわんこに癒やされたりして大満足の展示でした。芦雪のわんこ、もみくちゃになって一本目で潰されてるの最高だった。あと寒山拾得を初めて認識しましたが、非凡さを表すために気持ち悪く描かれるようになったのよくわかんないし、まじでエロ漫画のモブおじさんみたいな気持ち悪さでよかった。満月を指差す寒山拾得はかわいかった。

日本や中国は満月を描くことが多く、インドでは三日月が多くて満月はあまり描かれない気がして面白い。インド画をいくつか見たからこそマジックランプシアター入口の絵を見て「なんか見たやつに似てる画風だな?」と気づいたりするし、いろんなものに触れることって私を豊かさに繋げてくれるそのものだ。

初展覧の作品をたくさんおさめた図録、現地でなくても購入できるようです。

 

 

昔よりもインターネットに自分の記事を残すことのリスクが大きいしなんとなく恥ずかしくなってきたなと疎遠になっていましたが、今このときに感じたこと、考えたこと、それを書き留めておくことって大事なんじゃないかと思う時期になったので、気が向くときにはぼつぼつと残していきたい。

FINCAでパイルアップしてもらいました

FINCA新宿店で推し香水を作りました。店頭で説明された注意事項に従い、今回も特定のキャラクター名を出さずに匂わせますのでお察しください。(店員さんに「SNS投稿では、彼の名前を出さず匂わせるくらいでお願いします」って言われて笑ってしまった。匂わせるくらいね!フレグランスだけにね!)

前回のscentlyさんでは「多様なコンテンツから形成された彼」をイメージした結果、ラストシーンを連想させる儚げな香りに。今回は「相手をなんとか手中におさめようとする贔屓の彼」の香りに出会うためにお世話になりました。大事なことなので2回言います、「贔屓の彼」です。

オンライン予約し、インタビューシート持参で入店。感染対策でカウンセリングに30分の時間制限があるため立ったまま始まります。

FINCAさんは自社販売の香水をパイルアップ(重ね付け)する方法で香りを作っていきます。表現したい香りについては「俺のものになれー!と主導権を握りつつも、その後ろに、頑張っている不器用さだったり、臆病な姿がチラチラしてほしいです。」とリクエストしました。ふむふむとインタビューシートを読みながらアキネイターと化すお姉さん。関係ないけどこの記事を書きながらアキネイターをやってみたら、決定打となる質問が「人を殺した?」で声を出して笑った。

「彼は仮面をつけているんですね。お姉さんは彼の顔を見たことがある?」「はい、見てます」「顔はかわいい、かっこいい、クールでいうとどれですか?」「えっ……容姿的なことですよね……醜いです…」「醜い!?!」「この顔のせいで人生なにもかもうまくいかない!と思ってます」この時点でインタビューシートに追記される「闇」の一文字。はやい。

「彼が歌うのは、自分で作った歌ですか?」「(おそらく)そうです」「ライブとかコンサートします?」「しないです!もうほんとに、彼女を自分の虜にするためだけに歌うので、大衆に向けては歌ったりはしないです」「けっこう依存や執着しそうですね」「します!かなりの!!」「彼女への愛は、純粋で明るいものですか?どろどろしてる?」「暗いです。恋愛の愛ではなくて、母親からの愛情を求めてます。暗いけど純粋な気持ちだとは思います!相手を大切にしたいという気持ちはあります!」喋れば喋るほどろくでもない男を必死にフォローしてるようでジワジワきて、そういう意味でかなり楽しかったです。

「彼は喋りますか?」「喋りますが、対面での会話はあまりしないです。手紙で自分の存在を示したりってかんじです。人間関係が得意じゃないです」

あとは地底湖に住んでいることで店員さんを若干困惑させたりしました。一通り質問が終わったら、「ミステリアスで闇がある」「不器用」「(歌声や純粋な気持ちの)きれいさ」を異なるアプローチで表現した3種類の香りの提案。しかし、まったくしっくりこない。ちょっと不安になりはじめる。そこから「この香りでは無いです」「これよりはこっちのほうが近いかもしれないです」と選択肢を消していったり「もうすこし慎重で不器用な要素を入れたいです」などオーダーして、ブラッシュアップしてもらいます。彼のことは私しかわからないので、とにかく好きな(感じたい)要素を伝えよう!!と積極的に言葉にした結果、日常生活の3ヶ月分くらい「不器用」って言いました、たぶん。不器用に頑張ってる姿が好きだなって、実感したところだったので…。

取捨選択をするうちに、一番最初にしっくりきた要素はオヴェルタでした。店員さんが「19世紀フランスの要素を入れてみました」と選んだ香りです。アンティーク調のラウンジで葉巻を咥えながらウイスキーを傾ける男性を連想する香り。フレッシュな若さではない深みのあるメンズ、わかる。あと多分ベースにオークモスがあるからちょっとジメッとするやつ…蝋燭の火がある地下…。

そこから、オヴェルタを主軸にした組み合わせの吟味が始まります。「それっぽい」にあたると表情筋が動く。しかしレポでよく見る「いる!!!」には辿り着けず…ハッキリ目の前に出てきてくれない限りは、自分で決めなきゃいけないわけです。かなり悩みまして、もう、ほんとに悩みまして。悩みすぎてわけがわからなくなりまして。時間制限がなかったら数時間は決められなかったかもしれません。「こっちはすこしクセがある香りの不器用な彼で、こっちはきれいさが強い彼です。今日はどっちの彼を連れて帰りたいかですね。」「一度外に出て、彼の画像を見ながら嗅いでみてください。」とすすめられ、何度目かの店外で「彼」の歌声を思い出しながら公式画像を見つめてムエットを嗅ぐの、とにかく背徳感と罪悪感がすごかった。こんな気持ちで画像を見つめたのは初めてだよ。

そんなこんなで、なんとか決めた最終決定がこちら!

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オヴェルタヌーンムーン

最後までリトルウイングと迷いました。リトルウイングは澄んだ透明感のあるせっけんのような香りで、きれいな高音や愛を求める純粋さが感じられて。ヌーンムーンは瓜のような?クセがある軽い香り。なによりミドルノートに入ってるんですよね、ミュゲが…scentlyさんの解釈で殴られた聖母マリアの花…。きれいな透明感も捨てがたいけど!!「彼」なら選ぶべきはクセだろう、どっちかといえば!!!ミュゲだし!!!ということでヌーンムーンになりました。店頭では時間的にトップノートしか嗅げないからミュゲを感じられるかわからないのにね。花言葉大好きオタクは彼っぽい花を知っておくと思わぬ決め手になるかもしれません。(苦渋の決断だったためリトルウイングの組み合わせでもムエットをもらって帰りました。捨てがたいと思ったらオンラインで購入できるのも助かる。)

ピンときたわけじゃないけど、肌にのせたら香りも変わるだろうしな…と期待しながら、その晩に腕でパイルアップ。トップノートは店頭そのまま。そして1〜2時間後、香りが変わったので腕を嗅いでみたら。

…えっ!?!あっ!!!?わかる、かもしれない!!?!メンズ感の上に、トップノートにはなかった少しの重みがありながら胸焼けせず心地よく嗅いでいられるバニラビーンズの甘さが…わ、わかる〜!!!!贔屓の彼があの場面で見せる優しさの甘み〜!!これがもっとダイレクトな色気に寄ってたら獲物を待ってる彼なんですけど!そうじゃないからこそあの場面の彼なの、わかる。クセのあとに甘さがくるのも。それに自分用の香水では絶対に選ばない香りだからさらにドキドキする…というか、この香りが30分も贔屓の彼のことだけを考えて選んだ香水という事実だけでもやばくない…???ウワーッッ その晩は香りを拭わずに寝たんですけど、夜中に目が覚めるたびにぼんやりした思考回路に甘さが流れてきて、やけに恥ずかしくなりました。いつもそばにいてくれるじゃん…。

そしてパイルアップのすごいところ。逆の順番(ヌーンムーン→オヴェルタ)でつけると、オヴェルタのトップノート(シナモンやクローブ)のスパイシーさで引きしまる&甘さ控えめになります。かっこよさが強くなって、なんというか、これはこれですっごく「彼」なんですよ…!!!なんならこっちのほうがピンとくるぐらいの……贔屓の彼ではないけど、手紙をよこす時の堂々とした口調の彼……バニラの香りも優しさではなく甘言で手まねきをするように感じられて………三点リーダしか打てない………………香水ってすご………。

というわけで、FINCAさんのパイルアップは、推し香水を探す楽しみだけでなく、香水そのものをさらに楽しめるようになる体験でした!気分転換したいときは手持ち香水でもしてみたいね

 

余談。香水瓶はキャップではなくストッパー型です。リングがついているのでキーチェーンがつけられます。彼の公式グッズがちょうどぴったりサイズなので飾るのに便利です。

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scentlyの香水が届きました

前回の記事に書いた香水が届きました。注文から約1か月で到着しました。ポスト投函なので急な残業が入っても再配達の罪悪感を抱かずにすむのが嬉しい。

トップノートのマンゴーの甘さがピンとこなかったので「推しがそこにいる!!」とはなりませんでしたが!ミドルノートのロータスとミュゲの香りが品のいいやわらかい甘さで、あ〜はいはい概念のかおり…その解釈わかる…地下に残された真っ白なベールを抱きしめるきれいな姿のかおり…絵画のような…女性を感じる甘さなので、母性的な愛に包まれている様子とも言えるかもしれない…花言葉は離れゆく愛だからまさに地下なんですけど…。さらには仮面にスポットライトがあたるシーンのゆったりしたバイオリンの音色を感じます。主張の強いはっきりとしたトップノートがきれいに消えてやわらかい音色になるの、作品そのものじゃん…。マンゴーも違うけど自分じゃ完熟した果実で彼を表現しようと思わないから新鮮でたのしい…。

解釈ドンピシャの香水を目指すなら対面式の業者がいいと思います。が、scentlyさんはじっくりオーダーシートを書く時間の楽しさと権利関係がクリアな安心感がとてもいいです。対面式も楽しいだろうけど、完成された香りのイメージがないとなかなか勇気でないし。自分の解釈がどんな香りになるのか楽しみたくて気になっているオタクにはオススメです。香水がよくわからん!という人は、オーダーシートに日常遣いメインで香水よくわかりませんって書けば香りの重さも考慮してくれるんじゃないかな知らんけど。

 

せっかくなので、開封時に録音していたひとりごと(一人で受け止める自信がなくて録音した)の書き起こしを残しておこうと思います。楽しんでいる様子をお楽しみください。

 

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開けていきますよ。先にね、解説シートを見ないで、香りを嗅いでいきたいと思います。見た目は結構黄色っぽいですね。…ふふっ、待って、まだプッシュしてないんですけど、あの、プッシュするところの匂いを嗅いだらなんか爽やかなレモンの香りがする!なんだろう。どうしよう、ティッシュティッシュにかけていこう…ティッシュでいいの!?こういうのって…まあいいか。いきます!

あ〜〜!はい。あっ、これはね、柑橘系の…グレープフルーツですね。グレープフルーツの香りがする。結構ほんとに、なんだろう?グレープフルーツの苦味もあるし爽やかさもあるし……あのぉ……そうですねぇ!ちょっと、感動すると言葉を失うんだなあっていう実感をしてます。多分このグレープフルーツの苦味っていうのが、第一印象の、堂々としているとか、何でも思い通りにしようとするみたいな、そういうアク強めの性格を表してるんじゃないかなって感じはしますね。皮の苦味。ふふ、でもすごい使いやすい感じですね。多分、日頃使っている香水の欄にレモン系の香水を書いたのを反映していただいているという感じがします。いいですね好きですね。

そして〜?この香りが消えていくとどうなるんだ。ちょっと自分の体にもつけてみます。……うん。うん。やっぱり最初のトップノートは非常に、グレープフルーツジュース100%みたいな香りですね。

ミドルノートに変わるまで、解説ノートを今から読んでいきたいと思いまーす。このねぇ、イメージカラーに黒とバラの赤色と石膏の白を書いたんですけれども、「それ」ですね!けっこう黒から赤のグラデーションってほかのキャラクターでもあると思うんですけど、最後の白の感じがめちゃくちゃ好き。このカラーリングもけっこう大変だろうなと思うんですけど。

開けます!「オーダーシートにご記載いただいた、ずっと聞いていたくなるような歌声で相手を意のままにしている、歌っている時の姿がとてもセクシーという回答内容から、彼の魅力的な歌声と優艶な様子が感じられました。そんな彼には」、ふふふ、優艶って。美しいって言われてる〜!「甘いささやきという花言葉をもつマンゴーの」!?「ジューシーで完熟した甘い香りがお似合いではと考えました」。マンゴーですかぁ!?これぇ!グレープフルーツじゃないんだぁ!へぇー…!セクシーな歌声を熟れた果実で表現されるの、やらしくていいですね。はははっ。

「また、自分は誰にも愛されるはずがないという悲観の諦めと、なぜ自分がこんな運命なのかという怒りが内在しているというご回答を拝読した際に、母親から愛されなかった故の生い立ちや怒りが、彼の原動力なっているのではないかと解釈いたしました」。あー!!!(納得)はいっ!!ありがとうございます!!!解釈の解釈に栄養がある!「ミドルノートで感じられるロータス(蓮)は、まったりとした印象のある甘い香りで、花言葉は離れゆく愛です。母親の愛に触れることなく」、うううっ…、「育った彼の複雑な内面は、そんなロータスの香りに通じるものがあるのではないでしょうか。この香りを通して、彼の妖しい魅力や」、妖しい魅力ー!!(歓喜)「様々な思いを感じていただければ幸いです」!!

……ありがとう!!!ありがとうございました!!!ううぅぅ…これはもう一回リピートしますねぇ〜…うわぁ〜いいですねぇ。もう完全に、離れゆく愛って、ラストシーンじゃないですか…ボートが見えるよ…。

トップノートが、マンゴー、オレンジ、ぺあーってなんだ?ぺあー?後で調べよう(※西洋梨)などなど。絶対このetcにグレープフルーツがはいってる。ミドルノートが、ロータス、ミュゲ!……ミュゲ!?!!ミュゲってマリア様の!?ええーっ!すご…概念の香りとして聖母の花を選ばれる男…うわー…。あとアイリス。うわー字面の品がよすぎる。

ラストノートはシダーウッド、シナモン。んーーーーシナモン…思ってたのと全然違うのがきたなぁ。ちょっとまだここからシダーウッドに変化してどうなるのな想像できないですね。シナモンだからけっこう引き締まるのかな。いまのところすごい品のいい甘い香りしてますけど(笑)すごい、幼さを包む香りというか、これは地下だな…なにもなくなった姿に出てくる香りだ……。

そうですかぁ。そうですかそうですか。…ありがとうございます(感謝)

推し香水を注文しました

scently(https://scently.jp/)で推し(の概念)香水を注文しました。推し香水を謳う業者がいくつかある中で、容量が10mlで丁度いいこと、香りの解説書がついてくること、オタクを理解しているシステムと権利関係のガイドラインがしっかりしているところが安心かつ素敵だなと思い、scentlyさんにお願いしました。オーダーシートから推しの解釈を読み取り、自社香水から最適な香りを、解説シートとともに届けてくれます。

香水自体はまだ届いていませんが、オーダーシートの作成がすっっごく楽しかったので記事に残します。利用規約に従って特定のキャラクター名を伏せています。お察しください。

 

【イメージカラー】黒、赤い薔薇色、石膏の白

【セクシー度】4(かなり感じられる)

【性別と年齢】男性、30〜40代、誕生月不明

【一番似合う飲み物】ワイン

【重視するのは】キャラクターの再現度よりも普段遣いできるもの

イメージカラーは解説シートの縁などを彩ってくれます。薔薇が出てくるシーンってほとんどないのに仮面に添えられがちなのなんでだろうね!セクシー度は海外版も日本上演も例のナンバーの色気は並ではないということで4に。飲み物は血のワイン樽や地下の爆薬のイメージでワインにしました。香り=姿がないのにそばに感じられることが彼にぴったりだなと思い注文に至ったので、普段遣い重視にしました。概念の再現度が高くてもドキツイ香りがきたら楽しめなくて悲しいし…グッズにも実用性を求めるタイプのオタクです。

ちなみに性別欄にナチュナルに「人外」という選択肢があったのでオタク丸出しにしていいんだなって安心できました。カップリングも頼めるので異種カップルもいけるということですね。最高。

【世界観やキャラクター、人物の背景】

舞台は1880年代のフランス・パリのオペラ座。彼は、生まれたときから骸骨のような醜い顔を理由に母親にさえ愛されなかった。常に白い仮面で顔を隠している。華やかな舞台とは対象的な、侵入者を拒む罠が仕掛けられた地下通路の先に住んでおり、作曲に没入している。

人に姿を見せることはない。オペラ座の支配人や踊り子に恐がられている。

彼は10代のソプラノ歌手に歌を教え、「お前だけがわたしの音楽を完成させることができる」と自分のために歌うことを要求する。彼女が成功をおさめた日には、楽屋に一本の赤いバラを贈る(この花言葉が的確)。

彼女が亡き父がおくってくれた「音楽の天使」だと喜ぶほど、魅力的な声をしている(その歌声に催眠術をかけられたようにうっとりと深く陶酔するほど)。仮面を剥がれて素顔を見られた時には、ひどく取り乱し激昂する。

彼はこのソプラノ歌手を手中に収めようと画策するが、彼女の幼なじみである子爵(美青年の貴族)が現れたことで計画が狂ってしまう。子爵には「悪魔」と呼ばれている。

彼女の心を引き留めるため、音楽の天使あるいは亡き父として彼女に語りかけるが、いずれも子爵によって阻止される。強い嫉妬心と復讐心を抱いた彼の行動は、人の命を省みないほどに過激さを増し、ソプラノ歌手も彼を恐れるようになる。

物語の終盤、彼はソプラノ歌手によって大衆の面前で仮面を剥がれる。追い詰められた彼は、彼女を強引に地下に連れ去り、「わたしがこうなったのはすべてこの顔のせいだ」「私と結婚して子爵の命を救うか、子爵を選んでここで死ぬか選べ!」と迫る。ソプラノ歌手は音楽の師と崇めた彼の哀れな姿に涙し、彼にキスし、抱擁する。

幼少期から求めていたもの=母性的な無条件の愛を与えられた彼は抱きしめ返すこともできず子供のように泣いてしまう(その涙がとてもきれい)。すっかり覇気を失い、彼女を地下から解放する。助けに来た子爵と手を取り地下を後にする彼女の後ろ姿を最後まで見送ったあと、彼は一人で地下の闇の中に消えていく。

ストーリーの説明よりもっと自己解釈マシマシにしたほうがいいんじゃと自分でも思いましたが…ストーリー自体が好きだし…ストーリーはつまり彼なので…。ペルシア人の友人の話をいれるか悩みながら、概念として感じたいのは彼の歌声だなと思い、ミュージカルをベースに削ぎ落としました。シャンデリアとか出来事の詳細も削ぎました。他のキャラクターの説明は割愛したけど、ソプラノ歌手のBGSはもうすこし書けばよかったなぁ。お互いに親を求めて同調している、愛か恋か依存かわからないところに艶を感じている想いを載せられなかった…。

【第一印象の性格と内面に秘めた性格】

第一印象としてまわりが受ける性格

・堂々としていて自信家、怖いものなし。プライドが高く、完璧主義で口うるさい。すべてを自分の思い通りにしようとする。相手を従わせる力がある。

・ずっと聞いていたくなるような甘く美しい歌声で相手(ソプラノ歌手)を意のままにしている。歌っている姿がとてもセクシー。

内面に秘めた性格

・歌声で相手を引き込む時はかなり必死に頑張っている。

・彼のインナーチャイルドは、母親にさえ愛されなかった深い悲しみをずっと抱えていて、母性的な愛を与えられることに憧れている。自分は誰にも愛されるはずがないという悲観の諦めと、なぜ自分だけがこんな運命なのかという怒りが同時に内在している。

・素顔=コンプレックスに触れられそうに(至近距離に近づく、凝視されるなど)なると途端に怯む。仮面をつけていないと自信を失い、弱々しくなる。

【イメージしたい希望の香り】

楽家として秀逸な才能をもつ彼の歌声を感じたいです(聞いているとなぜかうっとりと安心して、ずっとその声に包まれていたくなるような、芯と色気がありゆったりとしています)。その声が聞こえなくなると彼が抱えた問題(愛を求めている、悲しみ)が見えてくる、そんな香りを体験したいです。

これね〜〜ほかのキャラクターから見た印象と私の第一印象とどちらで書くか難しかったです。癇癪持ちって書くか2時間くらい悩んだ(最終的にはミュージカルベースで考えたら地下のあれは負の感情からきている怒りなので癇癪とはちょっと違うかな〜と削除した)。基本的に紳士的な口調っていうのは書いたほうが良かった気がする。

 

自分はそのキャラクターのどこに重きをおいているのか、それを全く知らない人にどうやって表現して伝えるのか考える時間はとても楽しかったです。特定の演者ではなく様々な媒体が合わさったイメージを書き出したつもりでしたが、今見ると「あれあれあれーー?」という気持ちになるからふしぎ!歌声の音圧を伝えるために「エネルギッシュ」「力を感じる」って入れたほうがよかったかな…でも彼の歌声にうっとりしていく彼女が好きだから強調するならこっちだよな…というような一人押し問答を永遠と繰り返していく作業とてもたのしい。それぞれ999文字まで書けるし調香師さんも情報量が多くて困ることはないと思うからみんなも恥を晒そう!

2〜4週間で届くそうなので、そろそろかな?個人的予想だと、トップにカルダモン(スパイスの王様でピリッとした香りが自信家っぽいし、花言葉が「隠れた美点」「燃える想い」)とか、ラストノートにベチバー(地下の闇の中に消えていくので、根っこのスモーキーな感じ)とかかな〜〜と思っています。ベンゾイン(安息香とも呼ばれて、甘く心を穏やかにさせるあたり歌声っぽい)とかラベンダー(花言葉が「静寂」)きても死ねるな〜!どんな香りが届くか想像して考えている時間も楽しいです。楽しみすぎて毎日メールボックス確認してます。

歯列矯正を始めました

昔から歯並びが悪く顎に梅干しを飼っていて、中学時代に笑うときには口元を手で隠す癖を意識的につけたような人生でした。将来を悲観することはなくてもコンプレックスであることは確かで、イベントのグリーティング写真も横顔や笑ったときの口元がうつっているとダメージを受けて光の速さで画面を閉じます。

もしかしたら保険適用になる日が来るのではないかと思い続けて、やっと不妊治療の助成が増えたような世界でそんなことはあり得なさそうだと気づいたので、思い立ったが吉日、すぐにカウンセリング予約をとってポンポンと事をすすめました。引っ越し代よりも高いうん十万でも、結婚式の支払いの後だとハードルが下がる金銭感覚も矯正しないとやばいなと思っています。

今まで「歯列矯正をしたい」という気持ちのメインは審美目的だったのですが、ここ数年自分の身体のことを考えることが増えて、これからさらに歳を重ねた未来に、きちんとした噛み合わせで歯周病リスクを減らておきたいという気持ちが強くなりました。身体的な下り坂を迎える年齢なので一年でもはやく始めたほうがいいと思ったことが大きいです。

 

費用のほかにも、健康な歯を抜くことに抵抗があって二の足を踏んでいました。だってよく聞く「一本でも健康な歯を残そう」スローガンと真逆じゃないですか。非抜歯でやりたかった。あと痛いのも嫌でした。なので漠然とマウスピース矯正がいいなと思って、とりあえずインビザライン専門の矯正歯科で無料相談を受けました。

 3Dスキャンまでしてもらって、自覚以上にガタガタな歯並び(奥歯も嚙み合ってなくて驚いた)なことを認識しました。専門の矯正歯科だから無理やり契約させられるんじゃないかとビビっていたのですがまったくそんなことはなく、むしろ「インビザラインは巷で言われているほど魔法のような矯正ではないですよ」とまで言われました。ネットで言われているほど無痛ではないし、なにより私達の力で治療の進行度を左右できないんです、すべて患者さんの装着時間任せなので。ここで私の心は揺らぎました。そこまでマウスピース矯正にこだわる理由が自分にはあるのか。一日三食の食事のたびに脱着ということは一年で365日×3回でおよそ1000回。耐えられるのか。外出時の喫茶店も晩酌も制限がかかるぞ。その自信はあるのか。

うん、ワイヤーでもいいや。

別の矯正歯科にカウンセリング予約をいれている話をしたところ、「そこならインビザラインもワイヤー矯正も表裏で扱っている腕の確かな先生で、私は信頼してます。うちにするにしても、そこで相談してみてからでいいんじゃないですか」と背中を押してもらいました。自分の仕事に誇りをもっているいい矯正医さんだった。わたしの運命を変えてもらった。(余談ですが、マウスピース矯正については、ネットの体験談で「矯正終わった!」とあげられている写真は見た目がきれいでも上下の歯が嚙み合っていなかったり、マウスピースからワイヤーに切り替えている人も多かったり、メリットよりも不安のほうが大きい状態でした。)

 

後日、予定通りカウンセリングを受けました。一般歯科が併設されていて、親知らずを抜いてもらったことがあるので医院の雰囲気は知っていたので緊張はしませんでした。あらかたの説明を受け、「うーん四本抜歯をおすすめします」といつもの宣告を受け、別日に有料診断を受けました。毎回必ず顔が見える位置に来てくれたり、歯科衛生士さんとのやりとりが好印象だったので契約書にサインして、一括支払いしました。

 上下左右の四番抜歯の上下表側ワイヤーです(親知らずはすべて抜歯済み。)

それから二週連続で一本ずつ抜歯をしましたが、表面麻酔もしてくれたので全く痛くなかったです。針が刺さる感触もなかったし、液が入ってくる痛みもなく。引っ張られる感覚はさすがに怖かったけど、フルフラットの診察台で目を閉じて緊張してると、煉獄さんが「集中」って言いながらおでこトンってしてくれるんですよね。もう何も怖くない気がしてきて、そのまま深呼吸に徹しました。そしたらすぐにポンて抜けた。ありがとう煉獄さん。ありがとう歯科医さん。

どうでもいいんですけど四番って通常根っこが一本だそうですが、私の四番はきれいに二本の根があり先生が驚いてました。「歯科大学で抜いた歯を広げて何番か当てる授業があるんですけど、そこに出てきたらかなり困惑する歯ですね。「二本!?」って騒然とすると思います。きれいに抜けてよかったです」と言われて、ちょっとおもしろかったです。麻酔切れてないから口角はあがりませんでしたけど。親知らずも三根だったのでそういう身体なんだろう。

 

ワイヤー装着日は、夕方にワイヤーをつけて(上のみ)、4時間後にそこはかとなく痛みました。舌で押すとグラグラ動くのがわかって怖くなりました。シュークリームの皮は噛み切れず、よく煮たうどんは食べられました。出っ歯のせいか唇を閉じようとしてかかる圧だけでも痛かったので、啜らずにレンゲによそって食べました。

翌日の寝起きからハッキリした痛み。想像していた(親知らずを抜いたような耐え難い)痛みではありませんでしたが、我慢する理由もないのでカロナールを服用。痛み止めがあれば快適に過ごすことができました。食事はよく煮た麺類。フィナンシェは食べられるけどクッキーはつらい。3日目になると通常時の痛みはまったくなく、唇を閉じる圧も平気になりました。噛み締めても、歯が沈む感覚はしても痛みはない。7日目には沈む感覚もなくなりました。きゅうりも食べられるし、じゃがりこもいけそう。痛くなさすぎて動いているのか不安になるくらい。ブラケットのゴムはインドカレーで一発で黄ばみました。(今はブラケット固定が針金になったので着色については無双です)よく抜歯前に青ゴムをつけるとかブラケットだけつけて次回ワイヤーをつけるという話を耳にしますがそんなことはなく、ブラケットもワイヤーも一回でつきました。

 

今は下四番の抜歯中で、月末には下の歯にもワイヤーがつく予定です。また唇の裏にワイヤーが刺さる痛みに耐えるのがちょっと憂鬱です。ビタミンBサプリを飲んでいるのでいまのところ口内炎はできていませんが、痛いは痛い。でも痛みと同じくらいの喜びがあります。唇を動かさなくても前歯で蕎麦が噛み切れたとき、すごく感動しました(出っ歯なので上前歯と下唇で嚙み切っていた)。今年中にどこまでそろうのか、コロナが終息して久しぶりに会う人たちはどれだけ驚くかを考えると楽しいです。

歯列矯正は私の人生の中でたった数年の話なので、今後もちょくちょくブログに残していきたいです。がんばるぞ!矯正というよりブログ更新を。